華様ドラマ考

香港・台湾・大陸の日本未放映の華流ドラマをご紹介

向前走向愛走

f:id:maysh:20140616213957j:plain

出演
郭采潔、陳怡蓉、楊祐寧、楊一展

あらすじ
愛情よりもお金が大事な曾愛行とお金よりも愛情を必要とする孟晶晶は同じ大学で知り合う。
借金取りに追われている愛行をたまたま通りかかった晶晶が代わりに返金してくれる。
母子家庭で貧しいが明るく前向きな愛行と、裕福だが愛情に飢えている内省的な晶晶。
対照的な二人だがこれが縁で親友同士になる。
愛行が世話になっている家の孫息子である杜天澤は国立大学で法律を学んでいたが、弁護士である父親に反発し、自主退学をしお金にならない弁護活動をしている。
愛行と家に来た晶晶と出会い、彼女をデートに誘う。
何をするにも勇気が出ないという晶晶に対して、ここから海へ飛び込めば何かが変わるという天澤。
天澤の言葉を信じて飛び込む晶晶だが実際には泳げなかった。
それをきっかけに愛し合うようになる二人だが、バイクの事故で晶晶との連絡がとれなくなってしまう。
数年後、記憶を亡くした晶晶が愛行と天澤の前に現れる。
喜ぶ愛行と天澤だが当時の記憶を亡くした晶晶はよくわからない。
愛行は勤める会社の社長である邵任偉に興味津々。
お金持ちで独身である彼を恋の対象として自分を売り込むことに。
愛行の気持ちを知ってか知らずか何かにかけて彼女を誘う任偉。
そんな任偉に振り回される愛行。
愛行、晶晶、天澤はかつて晶晶と天澤が海に飛び込んだ岬に来る。
愛行と天澤が飛び込む場面を見てかつての記憶が呼び覚まされる晶晶。
天澤が自分が居なくなった4年間誰とも付き合わずに自分を待っていてくれた事実に感動し、
自分が今でも天澤を愛しているということに気がつく。
二人が元のサヤに戻り安心する愛行だが、晶晶の母親は自分の娘を事故に合わせた天澤を認めない。
また、愛情がなくても同じような裕福な環境の元へ嫁に出したいという母親に反発する晶晶。
そんな中、晶晶の父親の会社の経営が躓く。
そこへ合併話が舞い込むがそれを仕組んだのは任偉であった。
かつて自分の父親が晶晶の父親によって自殺に追い込まれた復讐のため、会社を救う代わりに晶晶との結婚を条件に出してくる。
反発する晶晶だが、心労により父親が急死。
家も追い出され路頭に迷うことになり、母親も慣れない生活で心身ともに衰弱してくるのを目にし、
任偉の条件を飲むことに。事情を知りつつも別れたくない天澤だが、困窮している晶晶を前に何も出来ない自分が歯痒い。
結婚式が近づくなか、それでも互いに忘れられない天澤と晶晶は二人で最後のデートをする。
教会に辿り着き誓いの言葉を交わし、やはり任偉とは結婚できないと悟る晶晶に結婚指輪を買ってくると教会を出る天澤。
その途中暴漢に会い昏倒する天澤と、それを知らずに待ち続ける晶晶、二人が何をしているか知らないままの任偉と愛行…

所感
個人的には前半はサイコーーの出来!
天澤と晶晶のカップルがとにかく可愛くて、見ていてとっても気持ちが良い。
この共演をきっかけに、楊祐寧と郭采潔は本当に付き合うようになったわけですが、それも納得な感じ。
とにかく二人から溢れ出す愛情表現が「それって演技?」ってぐらいマジっぽくて。
愛し合ってるよね~っていうのが手に取るようにわかるわけです。

f:id:maysh:20140616214000j:plain

この調子で最後まで行くのかと思ったら!

もう信じられないくらいの展開になるわけで。
暴漢に襲われた後に、今度は天澤が記憶喪失になってしまうわけです。
幼児退行って言ってもいいぐらい。
同じドラマの中でさあ、二人も記憶喪失とかイラなくね?
都合が悪くなると記憶亡くして振り出しに戻るとかイラなくね?
ってな感じで、あれほどラブラブだった晶晶ではなく、愛行を愛し始めてしまうわけですよ!
んなことあるか?
まあ、生まれて初めて目にしたものを親と思う子ガモのような感じでしょうか。
目が覚めて自分にすごくやさしくしてくれた、世話をしてくれた愛行を親と思うようなもんかと。
そう理解しないとこの前半の話は何だったのよ~とブチキレそうになるわけですよ。
字も読めないような幼児退行しちゃった天澤なんだけど、なぜか法令集については記憶が定かっていうのもいかがなものかと。
第何十条とかいうと、スラスラと答える。
こりゃいけそうってことで、あれほど反発していた天澤パパの法律事務所に入るわけ。
記憶を亡くしたおかげであれほど嫌いであったはずのパパさえもすんなり受け入れているという安易な展開で。
お気楽な展開過ぎるわけですよ。
肝心な晶晶もそんな天澤を見て、自分がかつて付き合っていたってことを告げるわけにもいかず、
愛行が彼女だったのよと言ってしまう始末。
愛行も天澤のことが好きだったからこれは複雑で。

f:id:maysh:20140616213959j:plain

晶晶が「天澤の面倒を見て欲しいとは思ったけど、付き合うなんて思ってもみなかった」って愛行に言えば、
愛行も「だって仕方ないじゃない、好きになるなんて思わなかったんだもの。気持ちは止められなかったんだもの」
と言い合うのも切ないな~と。
まあ、天澤モテモテなんだけど!

その後、実は付き合っていたのは晶晶と知る天澤なんだけど晶晶に対して
「本当はキミと付き合っていたんだね。でもおかしいなキミへの気持ちは愛行への気持ちとはまったく違う」
みたいなことを言ってしまうのもどうなのよ~って感じで。
結局、一番可愛そうなのは晶晶。
事故に遭わされるわ、記憶を亡くすわ、家は破産するわ、政略結婚させられるわ、かつて愛して人には興味無いって言われるわ~
で何の得もない人生ですよ。
最後に任偉が実は自分に対してすごく誠実であるってことを知って、この人と生きていこうという選択をするんだけど
それが唯一の救いかと。

結局最初からこの話では天澤と愛行を結びつけるつもりだったのよね。
そのための前振りを半分以上の話数で行っていたと。
台湾でもこの最後は評判悪かったみたいです。
これがね、もっと納得のいく話の進み方なら受け入れようと思いますけど、
記憶喪失という安易な展開を持ってきたから~そりゃないだろうと。
あの前半でのラブラブっぷりは偽りだったのかよ?って、
実は天澤の深層心理の中に居たのは最初から愛行だったのかよ?ってことでしょ。

後半のあまりの迷走っぷりに非常~に残念な気持ちにさせられるお話でした。
演者は4人とも最高なので、余計に残念。