華様ドラマ考

香港・台湾・大陸の日本未放映の華流ドラマをご紹介

怒火街頭2

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出演
鄭嘉穎、胡杏兒、李璨琛、林子善、曹永廉

あらすじ
弁護士の羅力亞と王思苦、同じ事務所で社工(ソーシャルワーカー)として働く丁家福と
裁判官の米佐冶の4人は深水埗で市井の人々の問題を解決している。
2年前の事件で罪を背負った羅力亞が出所する日、新たな仲間として警察官の梁包升が加わった。
力亞と思苦は恋人同士であるが、互いの正義感により度々意見の衝突を起こしている。
常に弱い立場に立ちそれゆえ私情が入りすぎる思苦に対して、弁護士にしては軽くいい加減に見えるようで誰よりも冷静に判断をする力亞。
二人は長年の良いコンビである。
実は力亞には以前、アメリカに居た頃に結婚していた過去がありあくまでも紙の上の契約であったはずの妻が
自分を長年探していたことを知る。
妻だったとは知らずに香港に不慣れなその女性Lynetteと仲良くなる思苦。
いざこざを回避したい力亞はその過去を隠し通しているが、未だに力亞を忘れられないLynetteは
事務所の近くに病院を開き何気に彼らに近づく。
2年前の事件で最愛の女性を殺された丁家福は未だに彼女のことが忘れられずにいる。
内地から移民してきたマッサージ師の銭心心と心を通わせるが一歩を踏み出すことが出来ない。
毎日のように様々な問題が起こるが、お金にならない事件が多く事務所経営は火の車だ。
そんな中、市井の人々の生活自体を脅かす事件が……

所感
なかなかの秀作。
残念ながら「1」の方は手に入らなかったものの「2」でも5話ぐらいのエピソードに
別れているので無問題。
弁護士、裁判官、社工、警察官とお国の為に働く人たちなのにそのノリがおバカな男子学生っぽいところがすごく良い。

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 全般的に軽いんだけど、ヤル時はヤルぜ!というメリハリがついているところが見ていて気持ちが良い。
しかも3人は共同生活。
鄭嘉穎のこんなに軽いノリの役は珍しい。大抵クソ真面目な2枚目役が多いので。
この役も結構2枚目なんだけど終始一貫して軽い。
ビシっと決めるところは決めるけど、そのラフさが逆にデキる男感を強調させていて今まで見た中で個人的には一番好き。
胡杏兒は相変わらず清廉潔白なポジティブシンキングな頑張る女子。
絵に描いたようなお役です。でも、彼女はそれでこそ良さが出るので。
あんまり辛気臭い役は似合わないんだよな~キレイだかどうだかよくわからない顔立ちも相俟って。

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終始こういうノリがカワイイ二人。

でも、このドラマの一番の目玉は、やはり李璨琛ではないかと思う。
映画専門俳優だったのに、何故にTVBドラマにキャスティングされたのかとっても不思議。
まあ、その新鮮さもこのドラマの人気に貢献したのではないかと。
とにかく役自体がとっても新鮮!というか今まで見たことない(さっきも使ったこの言葉)。
良いとこ育ちのソーシャルワーカー。困っている人を助けずにはいられない真っ直ぐな青年。
その育ちの良さゆえに、街の人々を助けることに喜びを感じ自分や身内のことは省みない。
ある意味融通が利かない猪突猛進型でもあり、その為に後々不幸なことが起きてしまうんだけど。
こんなに普通の青年役なんて……大抵、真っ直ぐだけど定職無しとか、純粋だけど古惑仔だったりとか
そういう極端な役ばっかりだったので、本人も初めての役で新鮮だったらしいです。
街中で色々な人から役名である「富仔」や「阿釘」と呼ばれて嬉しいと答えていた。

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確かに本当に良いとこのお坊ちゃんに見えたし、純情青年ぶりがカワイイ。
普通の役を普通に演じることが出来るだ~って所になんだか感心してしまった。
演技やっぱり上手。

で、着ている服が何気におサレ。
全て自前というか「Subcrew」のモノばかり。
この上のモッズコートもそうだし、社工なので基本襟付きシャツを着ているわけですが、わりとどのシャツにも
Subcrewのロゴが大きく入っていて宣伝効果は抜群。

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このネルシャツとかも肩の辺りや肘に素材の違う当て布されていたり、ブルーのシャツでも
切り替えでグラデーションになっていたり、綿シャツでも女性モノぐらい襟や袖がラウンドされていて可愛かったりして、
カジュアルなんだけどかなりディティールに凝っていて、他の主演者が着ている衣装とはエラい違いだった。

と、そういうところばかりに目がいってしまいましたけど、どのエピソードもなかなか考えさせられる話で
特に舞台が深水埗という下町なだけに、お年寄りは多いわ、建物は老築化しているわ、
働き口は少ないわ、賃金は安いわでとにかく問題が山積み。
でもみんな仲良く貧しいながらも明るく生きてますーーというTVB王道のお話で見ていて楽しい。
最後のエピソードはなかなかハードで、時期的に3.11を思い出してしまったけど……ちょっとほろ苦い終わり方だったな。