華様ドラマ考

香港・台湾・大陸の日本未放映の華流ドラマをご紹介

護花危情

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出演
黄宗澤、鍾嘉欣、秦 沛、蔣志光、樂 瞳、羅鈞滿、朱慧敏、簡慕華

あらすじ
財界の大物、喬江山・江河兄弟を保護するべき派遣された許瑋琛(許sir)をヘッドとする保護証人組のチーム。
江河が藩陽の黒社会からの遣い手に狙撃される。
それを目撃した江山の娘・子琳が狙われることに。
幼い頃の事件の性で心を病んだ子琳は他人に心を開かず、自分を護る許sirやチームの
存在を疎ましく感じている。
そんな中、子琳が所属する楽団の練習場が放火される。
煙にまかれ逃げる中、子琳のチェロが置き去りに。
己を省みず炎の中チェロを取りに行く許sirの姿に心を動かされる子琳。
それ以降、許sirの一挙手一投足から目が離せなくなる。
別荘で演奏会の練習を行う子琳とそれを護るチームは、山の散策中に
8年前に行方不明になっていた許sirの彼女の白骨化した姿を見つけてしまう。
慟哭する許sirの姿を見て動揺する子琳。

江河を狙撃した裁判で唯一の証人として証言を行わなければならなくなった子琳はナーバスになり心身衰弱と被告側の弁護人に言われてしまう。
落ち込む子琳に対して幼い頃に自分を救ったおまじないを教える許sir。
無事に証言を行い有罪と結審されるが、同時に許sir達証人組との別れの時でもあった。

許sirのことが忘れられない子琳は許sirのいとこであるjojoを通して彼に近づきたいが、どう距離を縮めてよいのかわからない。
また彼女の気持ちに気づき戸惑う許sirは逆に彼女と距離をとってしまう。
そんな中、一緒に行くはずであったトレッキングに子琳一人で向かい、遭難してしまう…

所感
2012年のTVBで放送された全ドラマ中平均最高視聴率を稼いだというこのドラマ。
個人的にはそうかぁ~という感じ。
当初28集で制作される予定が20集に縮まったという話もあり、
描かれない部分が多すぎて不完全燃焼。
それとは別にこのドラマに圧倒的に足りなかったのが
Boscoのデレ度!
これ大事…これ無いとBoscoの良さが激減する。
LOVEOVEとかロマンチック~とかいう表現ではなく、ドラマの中でのBoscoの彼女役に対しての態度は正にデレッデレ♪
どこまでが役でどこまでが本気なのか見極めがつきにくいほどで、そこがすごく魅力的でもあるんだけど。
それが今回の役では皆無!
本当ーーにカタブツなんだもの、許sirは。
ツンデレでもないし、面白味のない男なんだよな~これが。
こういうストイックで硬派な役っていうのも珍しくはあるものの、やはりお得意の
デレっぷりは見たいもの。

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いくら子琳が一途に思いを告げようともピクりともしない…と思ったら途中で「いつの間にか子琳の存在が心の中で大きくなりつつある」とか言い始める始末。
これで一気にデレデレモード突入か~と思ったら、いきなり子琳パパの横ヤリが。

でもね、許sirが子琳に好意を持つ過程っていうのがほとんど描かれていないのであまりに唐突過ぎて逆にはぁ~?取ってつけたように今更何言ってんの?って感じ。
一目ぼれとか、ほだされるようなシーンや許sirの子琳への見方が変わるようなシーンが無いんだよな~
まあ、トレッキングで行方不明になった子琳を2晩かけて必死に捜索して見つけた許sirの中で何かが変わったっていうのはわかるけど、でもBoscoお得意の獲物(恋する相手)を見つけた時のランランとした瞳の輝きを表現するシーンが無いので愛とか恋とかじゃなくて、同情なんじゃないの?とかしか思えないんだよな~。
台詞の中でも「時間をかけて自分の気持ちを確かめたい」とか周りには言ってるんだけど子琳は期待しちゃうよね、あれほど自分に振り向いてくれなかった許sirが2晩かけて自分を捜してくれたって知ったら。
でも、結局悪行に手を染めている子琳パパとしては大事な娘の彼氏が警察官である限り自分の腹を探られ続けるということに我慢は出来ないわな~、そこで交換条件を許sirに出してくる。
まだまだ子琳に本気モードじゃなかった許sirとしては完全に出鼻をくじかれたわけで自分がずっと信じてきた正義感とちょっと気持ちが揺らいだ女性を天秤にかければ自ずと答えは出ますよね。
ってことで、子琳とは付き合えないって言うわな。
彼女を傷つけまいと、8年前に亡くなった彼女のことが忘れられない…という嘘をついてまで。
そこでデレモードは完全終結ですよ。まったくデレる間もなく終わっちゃいましたよ。

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それでも初恋である子琳は負けずに許sirに食らいつく(苦笑)
まあ、許sirが何故自分と付き合えないかの真相は知らないからそこは押しまくり。
ドイツで買ってきたバイクのヘルメットを渡し
「もしいつか自分の存在があなたの心の中に出来たらこのヘルメットを被って私に会いに来て」
なんて言っちゃうわけですよ。許sir苦笑い……
結局、最後はバタバタと話が進行して子琳パパは捕まるんだけど、子琳パパを庇って許sirは車に引かれるわけですが、そんなカラダで子琳からもらったヘルメットを被ってバイクで子琳に会いに行くわけです。
その理由が、子琳パパに自分が捕まった後は子琳の面倒を見て欲しいと言われたからなのか、邪魔する相手が居なくなり純粋に子琳へ愛を告げるためなのか、警察官としてパパが捕まったことを子琳に伝えるためなのか、目的がよくわからないままバイクで走り出す許sir。
そしてラストは正に「天若有情」バリのバイク乗りながらの鼻血ブーならぬ吐血でエンド。
「永遠にてんびん座としてキミを見守り続けると」という台詞と共に子琳の腕の中で息を引き取るという何ともやりきれない最後で。
結局、許sirは一度も子琳に対して「好きだ」とか言う言葉は言わなかったのよね。
子琳は何度も許sirに対して告白してたんだけど…
という、物凄く物足りなさの残るお話で、さすがにこの最後は香港でもブーイングだったらしく別バージョンを作れ!という抗議が大層寄せられたそうですよ。
うん、うんわかるよ。
せめて許sirが少しでも子琳に対して好意を示すシーンが欲しかったわ。

ってことで二人のラブラインに終始しましたけど、アクションシーンは格好良いし、サブキャラのエピソードも盛られているので話自体は面白いし、破綻はない。
ただ、もう少し深堀して欲しかったな~っていうことです。